ここ10年で増加し続けてきた産業用と家庭用のソーラー発電設備の設置は、環境省と経済産業省が推進した固定価格買取制度などによるものです。
毎年見直されている発電電力の買取価格は、現在では制度がスタート頃に比べると5割減となっています。ソーラー発電設備の機器は、他の機器と同様に一般的に耐用年数は15年であり、積極的に導入が推奨されていた時期に設置した設備は、その年数に近づきつつあります。取り付け部材の腐食やソーラーパネルの汚損、パワーコンディショナーの動作不良などが、今後不具合として予想されます。
他に見逃せないものとしては、ケーブルの劣化があります。発電設備に用いられるケーブルは、およそ400ボルトの直流電圧が加わるパワーコンディショナーやパネルと、およそ200ボルトの交流電圧が加わるパワーコンディショナー二次側で使用されているものがあります。これらのケーブルは、パネルや機器周辺を露出配線で結束バンドで留められていることがほとんどです。
導体である銅線周囲を絶縁物で覆った電線を、さらにシースで被覆したものがケーブルです。電気設備の技術基準では屋外に配線を露出させることは問題ないのですが、長い間風雨や紫外線にさらされているため、被覆部から劣化が起こります。同様に、結束バンドも屋外では劣化が進み、樹脂製であっても金属製であっても何らかの不良が発生します。劣化した結束バンドで固定された機器類が強風などで風圧がかかると、パネルの破損やケーブルの離線や断線が起こります。安定した発電ができなくなるばかりでなく、短絡や地絡や絶縁不良を起こして、火災の発生になる可能性もあります。安定した発電を行うためには、専門業者による機器とその取付状況の調査と点検、必要に応じた補修作業は不可欠であります。